効果は平均3カ月続きますが、首周りには多くの筋肉が存在するので、初回のボツリヌス治療のときには最もこった筋肉を中心にせいぜい2〜3筋にのみに、かつ少なめの量で投与します。有効性を確認するのが主目的であり、患者さんもこの時点ではどの部分の筋肉がこっているかを意外にも把握できていないことが多いからです。
初回投与の効果を観察しながら2回目の投与のときには投与筋、投与量をより的確に定めていくことができるようになります。
現実的には2〜4回の治療をすると、約3カ月後に薬の効果が低下してきたとしても初回のころに比較するとこり痛みが軽減していることが多く、あえてさらにボツリヌス注射の反復をしなくて済むようになることが多く、次は再悪化があったときまで治療を延期することができます。
一部の緊張型頭痛は、首周りの筋肉ではなく、顎やこめかみの筋肉の異常収縮によるこり痛みが原因になっていることもあります。その場合には、歯ぎしり・食いしばりを伴っており、顎やこめかみの筋肉への注射が必要です。
症状が強い人では首の筋肉にも顎の筋肉の両者に異常収縮が出現している場合もあります。そのような場合には両者への投与が必要な場合も少なくありません。
なお一部の緊張型頭痛は精神的背景によって生じる場合があります。その場合には筋肉性のこり症状がありません。その場合には、ボツリヌス治療では効果が得られませんので、神経科あるいは心療内科的治療が中心になります。